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会長挨拶

2022年 会長年頭の挨拶

2022年 会長年頭の挨拶

 

 皆様、あけましておめでとうございます。
 2022年の新春を迎え、謹んでお慶び申し上げます。皆さん一人ひとりが新しい気持ちで新年を迎えられたことと思います。
 本年も協会、会員および構成員の発展のため、全力を尽くす覚悟でおりますので、皆様におかれましてもご協力を賜りますようお願い申し上げます。

 さて、昨年一年間を振り返ってみますと、一昨年から引き続き、新型コロナウイルスの感染拡大に振り回されながらも、オリンピック・パラリンピックが開催され、またワクチン接種が進むなど、足下は少しずつではありますが、コロナ後を見据えた動きが見えつつある状況にあります。感染防止を心掛けながら経済を回していくという、この難しい状態はもうしばらく続くと考えますが、協会活動にあたっては、最大限の感染防止に努めながら、できるだけ協会構成員間のコミュニケーションの確保・維持に努めていきたいと思っています。

 一方、私たちの業界に関しましては、2021年度上半期の推計鉄骨需要量は226万トンと前年同期比7.5%の増となりました。2021年度通期では、首都圏の大型工事が中心に、少しずつ需要が回復していることから、450万トン前後になるのではないかと思っております。

 2022年以降については、先行きの不透明感は払拭できないものの、大型物件は今後も堅調に発注される見込みです。一方、中小規模の物件については不安定な状況が継続すると予想していますが、鉄骨需要全体としては、徐々に回復してくると見ています。

 このコロナ後の局面においては、単に、コロナ前の状態に戻すというのではなく、新しい価値を創造し、より発展出来る業界に変貌していくことが求められています。来年、全構協は、発足後50周年を迎えます。未来に向けて、脱炭素問題等の環境との調和、デジタル化を中心とした技術進歩へ取組み等、業界のあるべき姿、持続的な発展に向けたビジョンを示していくことが重要だと感じています。本年は、未だコロナ禍の中にあり不透明な環境ではありますが、今後の大きな変化に備える準備の年と位置付け、業界の持続的な発展のため、中期的視点に基づく4点、

①品質管理の取組み強化
②次世代人材の確保と育成
③需給環境変化への対応
④中期的課題への取組み

を基軸として事業を進めてまいります。

1.品質管理の取組み強化

1.品質管理の取組み強化

 物づくりの基本である、品質に関する取組みを維持・強化していくことは、業界の持続的な発展のために欠かすことの出来ない取組みです。私たちが製作する鉄骨の品質への信頼は、先達や私たち自身が、過去の経験と反省をもとに、長年に亘って努力を積み重ねてきた結果であり、将来に向けてこの信頼を守り抜いていくことは、社会基盤を支えるものとしての我々の責務です。我々は、絶えず愚直に努力し、信頼を確保し続けていかなければなりません。

(1)技術者の教育と資格取得支援

 適正な品質管理を支えるのは、ものづくりに携わるすべての技術者・技能者です。設計、加工、組立、溶接、仕上げ、検査、塗装、輸送の各工程に携わるすべての作業者が、各々の作業の意義と目的を明確に理解した上で行動することが重要であり、その結果として、作業内容が標準化され、品質の安定化、均質化が確保されるのです。この様な技術者・技能者を育成するためには十分な教育が不可欠で、それを実施する責務は協会にあると考え、本年もそのための教育を強化してまいります。
 また、技術資格取得者が十分にそろっていることは、品質管理体制が適切に確保されていることを示す重要な指標ですし、資格取得を促進することは、品質管理体制整備の第一歩であるともいえます。当協会は、これまでも様々な方法で資格取得支援を行ってきましたが、本年もこの支援を続けてまいります。
 

(2)国土交通大臣認定工場の品質管理体制保持状況の確認

 品質を継続的に確保していくためには、一度整備した品質管理体制を不断に維持していくことこそが非常に重要です。私たちは、3年前から国交大臣認定取得のための審査に適合した時の品質管理体制がその後も維持されていることを確認するため、更新を含め大臣認定取得3年目の大臣認定工場を対象に確認作業を行っております。本年も継続して実施し、管理体制に変更があった構成員に対しては所定の届出の提出を促すなど、管理体制に不備が生じないよう注意喚起を継続強化してまいります。
 

 (3)高規格材鉄骨製作支援制度の推進

 超高層ビルに多く使用される高規格鋼材適用物件について迅速かつ効率的に対応するため、2018年に「高規格材鉄骨製作支援制度」を創設し、普及拡大に努めてきましたが、昨年までに11社12工場が適合工場となっています。この適合工場を更に増やすことが、当協会構成員の技術対応力の高さを示すとともに、品質管理に対する信頼性向上に役立つと考え、今後も本制度のさらなる普及に努めてまいります。
 

 (4)倫理意識の徹底

 品質の不正防止については、経営者や管理者は勿論、製作や検査を担当する一人ひとりの品質に対する意識・責任感に拠るところが大きいと言えますが、業界の内外を見渡すと、倫理意識の不足に起因すると思われる品質不正問題が後を絶ちません。
   全構協は、2019年に「協会理念・行動指針」を策定し、全会員及び構成員に周知を実施しました。ここにあらためて、倫理意識の徹底を強く要請するとともに、業界を挙げて、品質の確保、信頼の確保に努めていただきたいと思います。

2.次世代人材の確保と育成

2.次世代人材の確保と育成

 少子高齢化の進展に伴い、人材の確保と育成が鉄骨業界においても、喫緊の課題となっています。当協会は、この数年間、資格取得促進・支援活動、社内教育用・雇用促進用の各DVDの作成・配布、原価管理講習、経営力向上研修会、業界PRポスターの作成等の様々な施策を実施してきました。

   今後は、人材の確保と育成の方法についてもデジタル技術等も活用しながら、一層の内容充実を図り、実効性の高い施策を実施していきたいと考えています。

(1)人材確保の取組み

 鉄骨業界に携わる人材を確保するためには、鉄骨製作に関わる技術者・技能者の地位向上を図り、鉄骨業界が働き甲斐のある職場であることをPRしていくことが必要です。当協会もこれまでさまざまな取組みを行ってきましたが、昨年は、採用活動に際して学校等教育機関に掲示する業界PRポスターを作成し、全国に配布しました。今後の採用活動おいて、その活動の一助になることを期待しております。
   また、人材を継続的に確保していくためには、従業員の定着率向上が重要です。従業員が仕事にやりがいを感じれば、自ずと定着率は上がり、結果、人が育ち、会社は継続して人を確保することができます。仕事のやりがいをどのようにして高めていくのか、さらに検討を進めていきたいと思います。

 

(2)後継経営者(次世代人材)育成

 少子高齢化等、社会構造の変化にともない、多くの産業で人手不足、後継者不足が問題になっています。全構協の「事業継承対策WG」の調査においても、多くの構成員が後継者問題は重大な問題だと感じており、今後当業界が将来にわたり成長をしていくためには、後継者を確保し育成していくことが非常に重要です。
   経営者として求められるものは様々ですが、全構協としては、デジタル技術等も活用しながら、効率的かつ効果的な教育・研修等を実施するとともに、より広範な内容について学ぶことの出来る機会を提供すべく、検討を進めていきたいと考えています。
   人材の確保と育成が、各社の事業の継続に繋がり、その結果、業界の持続的な発展に寄与するものと信じ、継続的な取組みを行っていきたいと思います。

3.需給環境変化への対応

3.需給環境変化への対応

 昨年は、材料の価格高騰、納期の長期化に直面しましたが、これは一過性の問題ではなく、環境変化、構造変化によるものです。当協会はこうした需給環境の変化に対して、状況に合わせて迅速かつ適切に対応して参ります。

 

(1)原価管理の確実な実施に向けた支援

 世界的な原材料価格の高騰や材料供給の不安定化等により先行きが不透明なこの環境の中でこそ、自社工場の原価と採算レベルをきちんと把握し営業活動に生かすことが非常に大切です。全構協は以前から、原価管理実施の徹底と強化について、様々な施策を実施してきました。あらためて、原価管理の確実な実施に向けた支援を進めていきます。

 

(2)材料問題(価格高騰、納期長期化、需給環境変化)への取組み

 足元で、材料の価格高騰、納期の長期化が大きな問題となっています。これは過去に起こった様な、一過性の出来事ではなく、脱炭素を含めた環境対応と供給構造の変化によって起こった需給環境の変化に伴う状況です。この大きな変化のうねりは、当業界の努力だけで解決出来る問題ではありません。

   しかし、その中にあって我々に出来ることは、最大限の情報を集め分析し、多くの関係先と協力し連携して行動することです。昨年来、この材料問題については、サプライヤーとの情報交換を密にするとともに、行政、建築業界関係者とも会話を重ね、改善に向けた取組みを強化してきました。これからも、継続的な課題として、情報収集に努めるとともに、効果的な発信を行っていきたいと考えています。

4.中期的課題への取組み

4.中期的課題への取組み

 今後の大きな環境の変化、社会構造の変化に備え、業界が持続的に発展していくためには、中長期的課題についても積極的に取り組んでいかなければなりません。

   特に昨今話題となっている地球温暖化に対するCO2削減対策やエネルギー問題、デジタルトランスフォーメーション(DX)等の動向に注視し、新しい産業構造や新技術に対応できるようにしておく必要があります。

(1)デジタル化への対応

 コロナ禍の中で、Web接続での会議開催やオンデマンドでの講習会なども社会に根付きつつあり、当協会としても対応してきました。その中でメリットデメリットを踏まえつつ、次の行動に移行していく必要があります。
   日報デジタル化、リモート製品検査、ホームページの改造など、既に着手しているものもあります。将来的には、大量の品質情報をデジタル化して保管することにより、鋼材のトレーサビリティが格段に向上するなど、デジタル化によるメリットを業界として享受できるように取り組んでいきたいと考えます。

 

(2)環境問題に対する取り組み

 地球温暖化に対するCO2削減対策やエネルギー問題に取り組むことは、業界としても必須と考えます。鉄鋼連盟や日本溶接協会などの各種関係団体と連携し、CO2排出量やエネルギー消費に関する実態把握を実施した上で、削減対策について検討を開始したいと考えています。

   また、溶接ヒュームのマンガン規制など労働環境に対する規制も厳しくなりつつあり、作業従事者の健康に配慮した衛生管理も必要となってきます。今後の行政の動向を注視しつつ、前広に対応策を検討することも必要と考えております。

(3)社会構造変化への取組み、業界の持続的発展に向けて

 先に述べた、デジタル化の進展や環境対応だけでなく、全世界的に大きな社会構造変化が起きつつあります。当業界の周辺で言えば、需給環境の変化やグリーン調達がありますし、物づくりに関しても新しい技術の進歩等により、鉄骨製作に関して構造的変化が起こるかもしれません。人手不足への対応においても作業内容の変化に対する取組みや、外国人人材の活用等に対する前広な対応が求められると思います。
   世の中の変化は待ったなしで進んでいきますが、ただ流されるのではなく、きちんとした指針を持って進んでいく必要があります。来年の全構協50周年に合わせて、業界の将来ビジョンを検討し、示していきたいと考えています。
 
 
 今年度は、私にとって、会長として6期目、12年目の年となります。この間、微力ではありましたが、一貫して鉄骨業界の地位向上に努めてきたつもりであります。業界全体を見渡しますと、全国鉄骨評価機構による鉄骨性能評価制度、鉄骨技術者教育センターによる鉄骨製作管理技術者および建築鉄骨検査技術者の資格制度の一元管理化等、基盤は整ってきたと感じています。一方、更なる発展に向けては、業界自身が持続的に成長していく必要があります。そのためには、全構協の今までの歩みを皆さんにきちんとお伝えするとともに、将来の発展へのビジョンについても発信をしていく必要があると考えています。
   今業界には、従来型の発想ではもはや解決の難しい様々な課題があります。この課題の解決にあたっては、経験を積まれた先輩の方々の力は勿論、柔軟な考え方で問題に向き合うことの出来る次世代人材を含めた力の結集が必要だと感じています。業界全体が心を一つにして、この変化の時代に対応し、次の50年も発展し続けることが出来る業界にすべく、皆で協力して豊かな未来を築いて行きたいと思います。
   最後に、この一年が、皆様にとって明るい実り多き年になりますよう祈念して、新年のご挨拶といたします。

以上

2022年1月1日
一般社団法人全国鐵構工業協会 
会 長            米森 昭夫

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2022年1月1日
一般社団法人
全国鐵構工業協会
会長 米森 昭夫

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