会長年頭の挨拶
引き続き中小規模の物件については不安定な状況が継続すると見込まれる一方、着工の遅れが指摘されていた大型物件については、今後徐々に堅調に発注されると見通しており、鉄骨需要全体としては概ね、横ばい傾向が続くものと見ております。
1.品質維持向上のための管理体制強化
2.人材確保・人材育成
3.構造変化への対応
4.業界の将来像を見据えた取り組み
品質はものづくりの基本であり、製造業として社会的責任を担う根幹となるものです。品質管理体制を維持強化していくことは、業界の継続的な発展のために欠かすことのできない取り組みです。構成員が製作する鉄骨品質への信頼は、協会設立当初から一貫して取り組んできた工場認定制度と技術者教育を柱とした継続的な活動の成果です。
協会は将来にわたりこの信頼を守り抜き、社会基盤を支える業界としての責務を果たし、また、社会情勢に柔軟に対応して関連業界を含めた品質管理体制の維持強化を進めてまいります。
(1)品質管理体制の維持強化
(2)品質管理体制の強化と資格取得支援
我々の貢献が広く社会に認知され、社会から選ばれる業界へと発展を遂げていくためには、人材の確保と育成は不可欠です。生産性の向上により収益性を改善し、持続的な生産性向上への好循環を実現するために、多様な人材の確保と継続的な人材の育成について今後とも協会は施策内容の一層の充実を図り、将来の飛躍のために力を蓄えてまいります。
(1)人材確保
我々が社会から選ばれる業界へと発展を遂げていくためには、我々の社会貢献への理解と認知を深めていくことが重要です。そのためには、まずは我々の業界がいかに世の中になくてはならない存在であることを我々自身が知り、自信をもって語ることが大切であると考えています。なぜなら、それが鉄骨製作に携わる人々の更なる地位の向上につながり、また、我々の業界が極めて働き甲斐のある業種であることを社会に浸透させることができるからです。
それらを実現するために、協会は引き続き様々な取り組みを強化していきます。
我々の業界の仕事内容と女性活躍状況等を紹介する既存の映像コンテンツに加え、熊本城再生の物語『誇りは「鉄」で蘇る』をホームページに公開しております。
これらは、我々の業界で働く構成員の皆様の仕事がいかに社会にとって必須であるかを知ってもらい、理解を深めてもらうツールの一つであると考えています。今後とも構成員の皆様が効果的にこれらの映像コンテンツを活用できるよう、工夫を凝らしてまいります。
(2)人材育成
幹部経営層教育の総仕上げ的な位置付けで鉄骨技術者教育センターが実施している『社長の右腕育成講習会』については、本年 2 月に第 4 回を開催予定です。
また、昨年10月に開始した『人づくり研修』については、本年 3 月に全国の全 9 支部を一巡する予定です。昨年度の『次世代経営研修』と同じく、各支部から全面的なご協力を賜りましたこと、この場で心から厚くお礼を申し上げます。
人材育成施策については受講者ゾーン等を考慮し、主に上記の研修を中心に実施し、トップ層から中堅層・若年層にまで裾野が広がった人材育成の体系を構築し、実行に移してきました。本年は、将来にわたっての更に効果的な人材育成メニューを検討し、成案を得た後に新たな視点での提案を行おうと考えています。
本件は皆様からのご協力なくしては実行に移すことができません。引き続き、よろしくお願い申し上げます。
社会構造がめまぐるしく変化している中、我々は昨年に引き続き本年も状況に合わせて迅速的確に構造変化に対応をしていく必要があると考えており、以下 3 点の対応に重点的に取り組んでまいります。
(1)労働力構造の変化
建設業界における働き方改革がスタートしてから、まもなく 1 年を迎えます。この業界も人手不足であることが明らかとなってきており、円滑に対応していくためにも業界内で各種の連携をしていく必要があります。また、人口構成の変化に伴い労働力の構造にも変化が出てきており、特定技能外国人材の活用はその変化に対応する重要な施策となることから、円滑かつ効果的な運用を実現するべく、関係諸団体との連携を深めてまいります。また、労働力不足への対応と同時に労働環境の整備についても取り組み、施策の策定を進めてまいります。
(2)業界構造の変化
長らくの懸案である鉄骨製作図面問題については、協会は、昨年春から是正・解消に向けた要望活動を重点的に実施しております。現時点、関係諸団体との認識共有が図られつつあり、徐々に課題感が浸透してきたと感じております。
今後は各構成員が正しく関係法令を理解し、それに基づいた契約をおこなうことによって、適正な事業活動が保証され、実現すると考えています。協会はそのために、支部事務局・各都道府県組合等との連携を深め、その実効性を高めてまいります。
我々の業界と元請は建設的かつ良好な関係であるべきであり、我々はワンチームとなり、この課題に一致団結して取り組んでまいりたいと考えています。
(3)貿易構造の変化
近年、諸物価の高騰を背景に部材を海外で加工し、安価調達された輸入鉄骨の流入が拡大してきており貿易構造にも変化が生じています。本件は、我々の業界の鉄骨製作サプライチェーンに大きな影響を及ぼすことから、関係諸団体と連携し注視してまいりたいと考えております。
我々は業界を挙げて足元の課題に着実に対応する一方、その将来像を的確に見据えることが必要であると考えております。
世界共通の長期目標であるカーボンニュートラルへの取り組み、産業活動を下支えするデジタル化の動向等、新しい産業構造や新技術にも対応できるよう、柔軟な行動力を備えておくことが必要です。
協会は、これらの中期課題に具体的かつ柔軟に取り組み、かつ、将来を見据えたビジョンを実現してまいります。
(1)環境問題への対応
SDGsがクローズアップされる中、その目標の一つである地球環境の保全についても注目が集まっています。全世界レベルで環境負荷に対する関心が高まる中、我々の業界としても、特にカーボンニュートラルを見据えた温室効果ガス排出量の削減やエネルギー問題については、避けては通れない課題となってきております。
SDGsに積極的に取り組んでいると社会から認められることが、我々には必要です。また、鉄骨はリサイクル率が高く環境にやさしい材料ですので、関連諸団体と連携し鉄骨造建築物の良さをアピールしていくことも必要です。
本年も引き続き、環境問題に真摯な姿勢で向き合ってまいります。
(2)デジタル化への対応
デジタル・トランスフォーメーション(DX化)の加速化に伴い、社会に定着しつつあるウェブ会議やオンデマンドでの講習会を協会としても既に状況に応じて使い分けております。また、協会活動を通して、日報デジタル化、リモート製品検査等の各種デジタル化ツールを公開してきました。しかしながら、生産効率の向上に資するDX化は未だ発展途上段階にあるとしか言えない状況です。
建築業界としてBIM化が叫ばれているものの、データ共有のあり方やソフトの互換性など問題は山積しています。鉄骨製造業として設計図・施工図から工作図及び工作機械へのデータ連動が必須であり、設計者やGCとの協議も必要となります。今後、関連業界との情報の発信・共有を進めてまいります。
本年を、『将来の飛躍のために、信念をもって力を蓄える年』とし、社会が不透明感を増す中、我々は決して慌てる事なく落ち着いて行動し、多様な経験と英知を持つ諸先輩と、これからの時代を支えていく中堅層・若年層の方々がワンチームとなり、将来にわたって存分に力を発揮していきたいと考えております。
昨年、色々な会議や研修にて多くの構成員の方々とご一緒させていただき、その中で、大変に力強いご提案、また聡明なご意見を多く拝聴することができました。
我々のこの業界の将来には間違いなく素晴らしい展望が開けています。皆様の様々な声に触れて、ますますそれを確信するに至りました。ここに改めて構成員の皆様に心から感謝を申し上げます。
本年も是非、皆で力を合わせてまいりましょう。
この一年が皆様にとって、楽しく有意義に過ごせる明るい年になりますように祈念し、新年の挨拶といたします。
以 上